芭蕉db

もろき人にたとへん花も夏野哉

(笈日記)

(もろきひとに たとえんはなも なつのかな)

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 貞亨5年夏。岐阜蕉門の商人安川助右衛門(俳号落梧)は幼児を失った。それへの追悼句。他にも疑わしいが「埋火も消ゆや涙の烹ゆる音」もある。なお、落梧については、この折、「山陰や身を養はん瓜畠」がある。

もろき人にたとへん花も夏野哉

 幼い人の死に臨んでこの子にふさわしい花の一輪も捧げたいのですが、今は夏の季節、野には花がありません。無いのは花ではなくて慰めの言葉だったのである。