芭蕉db
   ある人の追善に

埋火も消ゆや涙の烹ゆる音

(阿羅野)

(うずみびも きゆやなみだの にゆるおと)

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 『阿羅野巻の七』「無常」の下に所載。元禄元年。岐阜の落梧宛か?だとすれば追善の句としては、「もろき人にたとへん花も夏野哉」もある。

埋火も消ゆや涙の烹ゆる音

 個人をしのんで埋火の傍に座っていると、涙が止まらない。その涙が埋火に入ってじゅっと煮える音がする。強烈な悲嘆の感情の露出だが技巧に過ぎて厭味を感じる。