芭蕉db
(貞亨3年冬 43歳)
あら物ぐさの翁や。日ごろは人の訪ひ来るもうるさく、人にもまみえじ、人をも招ねかじと、あまたたび心に誓ふなれど
(さけのめば いとどねられぬ よるのゆき)
普段は人と人の社会から遠ざかって隠遁を信条として生きているといいながら、雪が降った朝や月の美しい晩は友が欲しい。今宵は雪が降り、友も来ないので独り雪を眺め、雪について書き物をし、酒を呑んで寝た。酔って寝られるかと思えば、却って人恋しさが募って眠られない。