S19

病鴈のよさむに落ちて旅ね哉

あまのやは小海老にまじるいとゞ哉

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病鴈のよさむに落ちて旅ね哉      ばせを
   
あまのやは小海老にまじるいとゞ哉 同

さるミの撰の時、此内一句入集すべしト也*。凡兆曰、病鴈ハさる事なれど、小海老に雑るいとゞハ、句のかけり事あたらしさ、誠に秀逸也と乞*。去來ハ小海老の句ハ珍しといへど、其物を案じたる時ハ、予が口にもいでん。病鴈は格高く趣かすかにして、いかでか爰を案じつけんと論じ*、終に兩句ともに乞て入集す。其後先師曰 、病鴈を小海老などゝ同じごとくに論じけりと、笑ひ給ひけり*