芭蕉db

卓袋宛書簡

(貞亨5年4月月末 芭蕉45歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 飛脚便並宗無老御越之節御状、忝致拝見*。廿五日立之飛脚に以書状申進候へば*、もはや別条無御座候へ共、発句等御見せ、其上いよいよ其元なつかしく候故、又如此に御座候*。京滞留、両人*にては物たらず候處に、宗無老御越、大悦不浅存候。貴様其元御仕舞明候はヾ*、節句過早々あたご参可成候*。方々見物は致候へ共、あたごは一所御出もあるべきかと残し置申候。
 尚々一庵老*よりも又々御状申下候へ共、先書御報申上候間、此度無其義候。乍序一句、

半日の雨より長しいとざくら*        はせを


  卓袋宛に京に出てくるように促す目的で書いた書簡。文面から見て4月も押しつまってかららしいが、杜国が23日に三河に帰っているのに「二人だけでは面白くない」旨の内容が有るのは腑に落ちない点も有る.発句も存疑の怪しいものであることから、書簡全体も疑わしい点が無いではないが、先の25日卓袋宛書簡との類似から現在に残る。