芭蕉db

河合曾良宛書簡

(元禄7年7月10日 芭蕉51歳)

(前半部欠落)

書簡集年表Who'sWho/basho


一、沾圃歌仙珍重*、沾徳も出会ひ申され候よし*、感吟申し候。京・大坂・膳所の作者、目はづかしき者ども*見候あひだ、随分新意の「軽み」にすがり*、劣りなきやうに勤められ候やう、御伝へ下さるべく候。『猿蓑』の追加、『別座舗』『炭俵』の鳴り渡りおびただしく候ゆゑ*、またいよいよ改め候はでは、先集のきず残念に候ゆゑ*、八月中旬伊賀にてとくと改め、秋中には出板申すべく、他へは沙汰これ無く*、沾圃へ御伝へなさるべく候。取り重なり候ゆゑ、何事も申し残し候*
                      ばせを   (書判)
  七月十日
曾良雅丈

 膳所の無名庵を去って、伊賀の盂蘭盆会に参列する前の7月10日、京都市中の去来宅から江戸の曾良宛に出した書簡。膳所へ次に行くのは死後になる。
 この書簡は、先頭部分が欠落している。『別座舗』の成功の様子や、『続猿蓑』編集の心構え、嵐雪ら江戸の高弟達との確執も垣間見えて大変面白い。