芭蕉db

杉風宛書簡

(元禄3年3月10日 芭蕉47歳)

 

書簡集年表Who'sWho/basho


去年いつ比よりか終に御左右無之、万無心元存候*。愈御無事、御一家不相替候哉、承度而己に候*。自是、当春より段々以書状申進之候へ共、定而是も不相届候哉。
拙者下血痛候而、遠境あゆみがたく、伊賀に而正月初より引込居申候。もはや暖気に成候間、上方辺へ出申思案、次第に足を定可
申候はヾ、京下立売下長者町向日平次郎殿御遣し可成候。三月下旬其方へ立寄可申候。

  鶯の笠落したる椿かな
  木のもとに汁も膾も桜かな
  畑打つ音や嵐の桜麻
  陽炎や柴胡の糸の薄曇り
  種芋や花の盛りに売り歩く
   
  三月十日          桃青
 
  杉風様
尚々猪兵衛・桃印、油断不仕様に可被仰付候。

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  伊賀上野から江戸杉山杉風への一通。杉風からの音信が不通となっていたらしい。持病の痔と思われるが、下血の有ったこと、だから伊賀上野に引っ込んでいたが、体調も良くなってきたので3月下旬には京都へ行く予定であること。それゆえ、手紙は下立売下長者町の向日平次郎宛(向井平次郎、つまり去来宅)に出すように指示している。