芭蕉db

正秀宛書簡

(元禄4年5月23日 芭蕉48歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


一書致啓上*。愈々御無事、御老母様・御子達御無事被御座候哉*。漸々ない方にほひうつくしく御とり込推察令存候*。爰元わりなき集之内相談にて紛候而*、其境下向之事遅々といたし、一入御懐布のみに存候*。貴様玉句少々書入、幻住庵之句

月まつや海をしりめに夕涼

と入申候。
しぐれの鑓持句驚入*、此集之かざりとよろこび申候。御手柄とかく申難候。委細貴面可仕御座候。乙州事愈御取持可成候*。 怱々
五月廿三日                      はせを
まさひで様
たどたどし峯に下駄はく五月雨 探子、如此候*

 『猿蓑』編集中の京都から膳所の水田正秀宛に書いた書簡。『猿蓑』編集が事のほか時間を要し、約束した期限に近江に行けないことの詫び状になっている。