芭蕉DB

松尾半左衛門宛書簡

(貞亨?年?月8日)

書簡集年表Who'sWho/basho


かれらが事までは拙者などとんぢゃくいたすはづに而も無御座候へ共、一はあねの御恩難*、二、大慈大悲の御心わすれがたく*、色々心を砕候へ共、身不相応之事難調候*。其身四十年余寝てくらしたる段、各々様能御存知に而御座候へば、兎も角も片付様之相談ならでは調不申、さてさて慮外計申上候。御免可忝候*。 以上

     八日                  桃青

   半左衛門様


kaisetsu.gif (1185 バイト)

 詳しい日付が不明の松尾半左衛門宛書簡であり、しかも前半部が欠落した断簡。記事内容から貞亨年間中、または元禄元年(または貞亨5年)と推測される。この時期、伊賀上野の松尾家では兄半左衛門の妻が病弱でそのための薬代、および母の法事などの出費が嵩み、経済力の無い兄一家は金銭的に極めて困窮していたらしい。これは、その兄から弟に対して金銭の無心が寄せられたことに対する断りの書簡である。
 本書簡では、漢字の使用量が減っている。兄の識字の程度を低く見ているのが分かる。