芭蕉db

木因宛書簡

(貞亨2年3月26日 芭蕉42歳)

書簡集年表Who'sWho/basho

 方々一見仕候而、此度 帰庵に及申候*。愈御無事に御座候哉。当春無恙様に承及候而珍重奉存候*

本当寺様*に三日逗留、御噂度々に及申候。

  京鳴滝三井秋風閑居梅林にあそびて*

 梅白し昨日や鶴を盗まれし

  杉菜に身する牛二ツ馬一ツ  

             亭主 秋 風

我桜鮎サク枇杷の広葉哉

 筧にうごく山藤の花   桃青

日の霞夜銅の気をしりて    湖春

又、山家

樫の木の花にかまはぬ姿哉   桃青

 家する土をはこぶつばくら   秋風

其外書事、少々紙せばく*、先打捨申候。無事に帰庵之旨、とう山公*・如行子へ早々御噂奉願候。尾張熱田に而五三日休息、何とぞ独木曽路の旅望に被存候。不定不定。

三月二十六日

木因様                         桃青


kaisetsu.gif (1185 バイト)

  『野ざらし紀行』の旅の途次熱田から大垣にいる谷木因に宛てた手紙。この旅では、木因の人脈で実に様々な人々と交流が出来たこと、その謝意を旅の終わりにあたって表したかったのであろう。