芭蕉db

木因宛書簡

(元禄6年1月20日 芭蕉50歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


御芳翰舟便慥に相達し、小帋一束被御意、遠方辱令存候*。御発句共御書付令感候*。愈御無為之旨、珍重此事に存候*。愚庵無別条罷有候*。三つ物例年之通可成候よし、珍重存候*。相替事無御座候間、早々*
正月廿日

春もやゝけしきとゝのふ月と梅

頃日申候*
木因様                             はせを

 深川芭蕉庵から、久々に大垣の木因に宛てた現存する最後の書簡。木因から小帋一束が贈られてきたことへの謝辞である。 当時、紙の一束という単位は10帖を言い、1帖は48枚を単位とした。

 ところで、ここに木因から贈られてきた紙は、木因が美濃の人なので美濃紙であろう。時期的に見て、芭蕉はこの紙を使って、『奥の細道』の創作にあたったのではないかと思われる。