芭蕉db

木因宛書簡

(延宝9年秋 芭蕉38歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 今朝は得御意珍重、今少々罷成*、扨々御残多奉存候*。且又、第三致候*。河豚ノ子とありて秋めかしく候故、秋季(欠落)置候。むつかしく思召候はば御かえし可成候*。五文字、蛤ともこちのこにも*(欠落)候へ共、清書之致様あしく候はば、是又可仰聞候*
一、七百五十韻*、爰元にはや無御座候。其元より京へ可仰遣候*。明日御隙に御座候はば、朝之内にも御入来可成候*。此度返へすがえす御残多難盡候。 以上
  尚なお短尺弍枚其角へあつらへ、明朝取に可遣候*。 以上

 この書簡には、下記のような木因添え状が付随して現存している。これと本文から分かるように、芭蕉・木因・素堂の三吟連句を巻いたこと、素堂が発句、木因が脇をつけ、芭蕉が第三句を付けたことなどが知られる。『七百五十韻<しちひゃくごじゅういん>』が評判がよかったことが文脈から分かる 。

 

 今朝は*                      芭蕉翁筆印 印

右手簡、予先年東武滞留之節、山口素堂陰士をとふに、あるじ発句あり、予脇あり、芭蕉見て第三あり、是を桃青清書して贈れり、其時の一簡なり。

  木因大雅のおとづれを得て

  秋とはゞよ詞はなくて江戸の隠   素堂

    鯔*釣の賦に筆を棹       木因

  鯒の子は酒乞ヒ蟹は月を見て  芭蕉

清書如此。本紙は赤坂金生山堯偏法印所望にて贈此。

         白櫻下木因記   印  印