芭蕉db

痩せながらわりなき菊のつぼみ哉

(続虚栗)

(やせばがら わりなききくの つぼみかな)

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貞亨4年、44歳。『笈の小文』の旅へ出発直前の江戸での句と思われる。

痩せながらわりなき菊のつぼみ哉

 「わりなき」(理なき=他にこうするよりどうしようもない、選択の余地が無い、の意)に凝縮した句。
 痩せて育ちきれないだろうと思われていた菊が、秋の深まりと共に蕾をつけた。菊にとって、他にどうしようもない生き方だったのである。
 痩せた菊のイメージはそのまま芭蕉自身のイメージだったのかもしれない。芭蕉秀句の一句。