芭蕉db

七夕の逢はぬ心や雨中天

(続山井)

(たなばたの あわぬこころや うちゅうてん)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 寛文7年、24歳の若い作。

七夕の逢はぬ心や雨中天

 今日は雨の七夕。せっかく天の二星は逢引に来たというのにこの雨では天の川が増水して渡れまい。気の毒に、逢瀬を楽しめばこそ「有頂天」に行けるのに、会うことすらできないのだからこれは「雨中天」と言わなくちゃならない。
 「有頂天」と造語の「雨中天」を引っ掛けて面白がった貞門風俳諧。ところで「有頂天」とは、現在では能天気に喜ぶ意に使われているが、元来は仏教用語で9つの天のうちで、最上の至福の天を指す。