芭蕉db

瓜の花雫いかなる忘れ草

(類柑子)

(うりのはな しずくいかなる わすれぐさ)

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 貞亨年間(41歳〜44歳)頃までの作。門人其角の『類柑子』<るいこうじ>によればこの句にはエピソードがある。言水・高山某・其角と芭蕉が茶人河野松波宅を訪れたところ、口の欠けた古いヒョウタンに瓜の花を生けて、その下に糸の無い琵琶を置き、花からもれる水が琵琶の撥面に当って妙なる音がする。それをもって涼をとっていたというのである。なんと風流な凉のとり方であろう。暑いとすぐにエアコンをつける現代人は反省を。

瓜の花雫いかなる忘れ草

 瓜の花の雫はいかなる憂さを忘れさせるものなのか。もちろん暑さを忘れさせる忘れ草に違いないのだが。