芭蕉db

梅が香やしらら落窪京太郎

(忘梅)

(うめがかや しららおちくぼ きょうたろう)

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 元禄4年1月。作句場所は不明だが、時期からみて上方での句。

梅が香やしらら落窪京太郎

  梅の香が匂う頃ともなると古典の登場人物がなつかしく偲ばれてくる。実に調子の良い句で、作者もその快調な拍子を意識しての作であろう。一見、貞門時代の芭蕉作品を思わせる句。
 「しらら」も「落窪」も「京太郎」もこの時代にはよく知られた古典文学であったようである。その後、これらの作品は人の口に上らなくなったが、「しらら」を除いてその存在が判明しているそうである。(「落窪」は『落窪物語』ではなく御伽草子の小落窪らしいという。)