芭蕉db
   憂ヒテハ方知、貧シテハメテ

花にうき世我が酒白く飯黒し

(虚栗)

(はなにうきよ わがさけしろく めしくろし)

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 天和3年、芭蕉40歳の作。前詞は「憂いてはまさに酒の聖を知り、貧してははじめて銭の神を覚る」と読む。

花にうき世我が酒白く飯黒し

 世間は花に浮かれているが、私の酒は白く、米は黒い。酒が白いのは濁酒だからであり、米が黒いのは玄米だからである。こうして初めて、酒の聖を知り、銭の神について覚るというものである。
 貧を衒っているようでもあり、呪っているようでもあり。


岐阜県大垣市船町奥の細道むすびの地にある句碑(牛久市森田武さん提供)