芭蕉db

月ぞしるべこなたへ入せ旅の宿

(佐夜中山集)

(つきぞしるべ こなたへいらせ たびのやど)

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  寛文4年作。芭蕉21歳。 

月ぞしるべこなたへ入せ旅の宿

 一句は、「明るい月は道標であり道案内だ。さあ旅の方こちらの旅宿へいらっしゃい」といった意味。謡曲『鞍馬天狗』に、 「奥は鞍馬の山道の、花ぞしるべなる。此方へ入らせ給へや。・・・とあるを採った。花を月に、此方を旅の宿に換えただけのもの。
 この時代の俳諧の主流は、
貞門風であり未だ談林俳諧には間がある。そして貞門風は多く謡曲に題材を採ったので芭蕉もその流儀に従っているだけのことである。


三重県上野市JR関西線伊賀上野駅前の句碑(牛久市森田武さん撮影)