芭蕉db

雲をりをり人をやすめる月見かな

(あつめ句/真蹟拾遺/春の日)

(くもおりおり ひとをやすめる つきみかな)

   終夜の陰晴、心尽しなりければ

雲をりをり人を休むる月見かな

(真蹟懐紙)

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 貞亨2年。仲秋の名月か?『春の日』所収。『真蹟拾遺』では「西行のうたの心をふまえて」とある。すなわち、西行の歌「なかなかに時々雲のかかるこそ月をもてなすかぎりなりけり」をふまえての句である。

雲をりをり人をやすめる月見かな

 名月を見ていると、ときどき雲に入ってくれるからこそ我に返れる。そうでなければ自分を忘れてしまいそうだというのである。


神奈川県伊勢原市大山大山寺不動の句碑(牛久市森田武さん撮影)