芭蕉db

蜻蜒や取りつきかねし草の上

(笈日記)

(とんぼうや とりつきかねし くさのうえ)

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 元禄3年秋。作句場所は不明。「蜻蛉<とんぼう>」はカゲロウのこと。

蜻蜒や取りつきかねし草の上

 蜻蛉は、カゲロウ目の昆虫の総称。多くは体長 10〜15mm。体はか弱く細長で、二本または三本の糸状の尾がある。はねは膜状で、後ろばねは小さいかまたは欠如する。不完全変態を行い、若虫は水中で一年以上を過ごし、羽化して亜成虫となり、さらに脱皮して成虫となる。成虫の寿命は数時間から一週間ぐらいで、短命ではかないもののたとえにされる。日本にはヒラタカゲロウ・トビイロカゲロウなど約60種が知られる。ウスバカゲロウ・クサカゲロウなどはアミメカゲロウ目に属し、分類上は異なった種類( 以上『大辞林』を引用)
 一句は、カゲロウが薄い草の葉に止まろうとしている、微風が吹いて葉が揺れる、葉に止まろうとしていた蜻蛉は何度も何度も失敗する。 嘱目吟だろうが、芭蕉が唱導する「軽み」に失敗する門弟達を見ての印象かもしれない。