芭蕉db
   伊賀の山家にありて

手鼻かむ音さへ梅の盛り哉

(蕉翁句集草稿)

(てばなかむ おとさえうめの さかりかな)

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 貞亨5年春。『笈の小文』で郷里伊賀で年を越して、いまようやく春。 

手鼻かむ音さへ梅の盛り哉

『卯辰集』では、

手鼻かむをとさへ梅の匂ひかな

とある。「手鼻」と「匂い」では俗に落ち過ぎであろう。最終的に、「盛り」に落着いたのである。それにしても、手鼻などというあまり品のよくないものが詩の世界に入ってくるところ、それでいて俗に落ちないところこそ芭蕉俳諧の神髄なのである。


三重県上野市敢国神社にある句碑(牛久市森田武さん撮影)