芭蕉db
   二見

硯かと拾ふやくぼき石の露

(杉風宛真蹟書簡)

(すずりかと ひろうやくぼき いしのつゆ)

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 元禄2年秋。二見ヶ浦。西行法師を偲んで。元禄2年9月22日付杉風宛書簡にある。

硯かと拾ふやくぼき石の露

 二見が浦で西行上人を偲んでいる。浜には窪んだ石に露のたまったのが落ちている。そういうものを見るにつけ、これは西行法師が使った硯ではないかとつい思ってしまう。
  その昔、西行が二見が浦に隠棲していたとき、彼は海岸で窪んだ石を見つけて、それを硯として使っていたという故事がある。