芭蕉db

夕顔の白ク夜ルの後架に紙燭とりて

(武蔵曲)

(ゆうがおの しろくよるのこうかに しそくとりて)

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 延宝9年(天和元年)、芭蕉38歳の作。この年16句が記録されている。

夕顔の白ク夜ルの後架に紙燭とりて

 夜中、手洗いに行こうとして松明の灯を頼りに室外に出てみると、その明かりの中に庭に咲く白い夕顔の花が現れた、というのである。「後架」は禅宗の寺でいう便所のこと。
 一句は、『源氏物語』「夕顔の巻」をヒントにした幽玄の世界をパロディー化したもの。美女「夕顔」と光源氏の逢瀬の話を、厠に行こうとして見つけた夕顔(干瓢の花)に転置してしまったのである。