芭蕉db
   城主の君、日光御代参勤めさせ給
   ふに扈従す、岡田氏某に寄す

篠の露袴に掛けし茂り哉

(後の旅)

(ささのつゆ はかまにかけし しげりかな)

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 元禄6年夏。ここに岡田氏某とは大垣門人の千川のこと。元禄6年4月9日、大垣藩主戸田氏定が日光代参の役割を命ぜられた。千川はこれに扈従したのである。氏定は、同年4月24日に将軍綱吉に代参の報告をしているので、この句はその頃に歌仙の発句として詠んだもので、千川の脇句「牡丹の花を拝む広場」がある。

篠の露袴に掛けし茂り哉

 千川は将軍の代参として主君にしたがって日光にお参りしてきた。その袴にはきっと日光街道の生い茂った笹の露が着いていることであろう。千川へのねぎらいが込められている。