芭蕉db
   酒飲み居たる人の絵に

月花もなくて酒のむ独り哉

(阿羅野)

(つきはなも なくてさけのむ ひとりかな)

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 元禄2年春。画賛。絵の中には「月花」は無かったのであろうから、それはそれで正しいのだが「無い」ものを呼び出すというのは手柄なのである。

月花もなくて酒のむ独り哉

  この絵の中で独り酒を呑んでいる御仁、月も無ければ桜もないというのに。どんな淋しさを癒そうとて呑んでいるのか。自身の姿を絵の中に置いた詠みぶりである。