芭蕉db

   近江屋玉志亭にして、納涼の佳興

   に瓜をもてなして、発句を乞うて

   曰く、「句なき者は喰う事あたは

   じ」と戯れければ

初真桑四つにや断たん輪に切らん

(真蹟懐紙)

(はつまくわ よつにやきらん わにきらん)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄2年6月23日。『奥の細道』旅中、象潟から再度酒田に戻ってきて、酒田の富商近江屋三郎兵衛宅で夕涼みの風流を 催した時の句。

初真桑四つにや断たん輪に切らん

  真桑はマクワウリ、初物だったのであろう。前詞に「句なき者は喰うべからず」というのだから、真剣にならざるを得ない。とにかく、芭蕉は瓜が好物であった。 そういえば、今では山形はおいしいスイカ(西瓜)の代表的な産地である。スイカもウリも水はけの良い砂地を好む植物。酒田の海岸線は当時も今も瓜科の植物の生育に適していたのであろう。