芭蕉db
   李下が妻の悼み

被き伏す蒲団や寒き夜やすごき

(かしま紀行)

(かずきふす ふとんやさむき よやすごき)

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 元禄元年冬。門人李下の妻も門人だった。その彼女がこの秋死去。一句は追善句。なお、李下は、芭蕉庵に芭蕉を贈ったことで有名。なお、このとき去来は、「寝られずやかたへ冷えゆく北おろし」(曠野)と詠んでいる。

被き伏す蒲団や寒き夜やすごき

 李下はいま妻を失い、一人寝の寒さを一入感じていることであろう。挽歌として文字どおりに「すごい」句。
 同じシチュエーションに対して、去来も句「ねられずやかたへひえゆく北おろし (『あら野」を寄せている。