芭蕉db
 三日口を閉ぢて、題正月四日

大津絵の筆のはじめは何仏

(俳諧勧進牒・曲水宛書簡)

(おおつえの ふでのはじめは なにぼとけ)

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 元禄4年正月4日、乙州宅での作。芭蕉48歳。曲水宛書簡参照。

大津絵の筆のはじめは何仏

 正月といえば書初めだが、大津絵の絵師たちは一年の最初にどの仏の姿から描き始めるのであろうか? 大津絵は土俗的な色彩で阿弥陀像や不動明像などを描いたものが含まれている。なぜかこの国には、正月三ケ日は佛のことは言わない風習があって、大津絵の絵師たちも三ケ日は仕事をしなかった。芭蕉も同じように三ケ日「口を閉じ」て、この句は4日に作ったという。曲水宛書簡には曲水の歳旦吟「金平も分別やすむ朝かな」を受けて「三日口を閉ぢて」と前書きしたとしている。


滋賀県大津市芭蕉会館の句碑と大津絵の像。牛久市森田清さん提供