芭蕉db
  猫山

山は猫ねぶりて行くや雪の隙

(五十四郡)

(やまはねこ ねぶりていくや ゆきのひま)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 天和元年(38歳)頃から天和4年(40歳)頃までの間。「陸奥名所句合」と題する。
 なお、この時期の制作年次不明のものとして、15句がある。

山は猫ねぶりて行くや雪の隙

 「猫山」は会津の磐梯山の別峰。猫山という名前から連想して作られた句。「ねぶる」は舐めること。
 猫は身体を舐めるので、猫山も自分の体を舐めるのだろう。すると雪が融けてそこに雪の隙、すなわち剥げたところが生ずる。同じ作句動機で作られた句に「戸の口に宿札名乗れほととぎす」がある。