芭蕉db
   正成之像
   鉄肝石心此人之情

撫子にかかる涙や楠の露

(芭蕉庵小文庫)

(なでしこに かかるなみだや くすのつゆ)

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 貞亨元年(41歳頃)頃から死の元禄7年(51歳)までの間。比較的後期の作。楠は楠正成(1294〜1336)をさす。

撫子にかかる涙や楠の露

 ナデシコの可憐な花に大きな楠の葉に溜まった露が落ちてくる。それを見ているとあの楠正成の桜井の別れを思い起こすことだ。あのとき、幼子の正行の袖の上に落ちた正成の涙こそ、この大きな楠の露であり、正行はこのナデシコのようであったに違いない。画賛句。