「人の短をいふ事なかれ、己が長をとく事なかれ」で他人に口角泡を飛ばして非をなじったり、自分の優れたことなどしゃべらない、ということを座右の銘としたい、というのである。芭蕉が、そういうことをしたことがあったのだろうか?
古来、「何かいうと他人から非難される。クワバラクワバラ」と間違った解釈がなされている。「黙っているにかぎる」というのだが違う。下記「Q&A」参照。
東京足立区千住神社境内の句碑(牛久市森田武さん提供)
Q&A
Q::はじめまして。突然のメールで失礼致します。こちらは○○市立中央図書館・レファレンス担当と申します。
現在、当館の利用者依頼による参考調査で、芭蕉の『物いへば 唇寒し 穐の風』の解釈について調べております。色々文献を見たものの、こちらに読み取るだけの力量がないのと、調査事項に関する記載が少ないのとで煮詰まっている状態です。 そのため、勝手なお願いで大変恐縮なのですが、伊藤さんのお力をお借りできればと思い、メールさせていただきました。
ご存知の通り、『物いへば 唇寒し 穐の風』は、大概の文献では訓戒の句として解釈されています。ところが、この句の解釈の調査を依頼した当館の利用者は、伊藤さんがおっしゃるように、訓戒の句と解釈するのは誤りであると考えています。そこで、裏づけとして、何らかの文献を求められ、探している次第です。 伊藤さんが、なぜ『物いへば 唇寒し 穐の風』を訓戒の句とするのが適当ではないと判断されたのか、あるいは訓戒の句ではないと解釈されたのか、具体的な根拠がありましたら、ご教授ください。また、訓戒ではない解釈が載った文献等がございましたら、合わせてお知らせください。誠に勝手なお願いで申し訳ありません。何卒よろしくお願い致します。
A: