芭蕉db
   三日

何事の見立てにも似ず三日の月

(阿羅野)

(なにごとの みたてにもにず みかのつき)

ありとある見立てにも似ず三日の月

(知足書留)

   尾張円頓寺にて

ありとある譬にも似ず三日の月

(真蹟色紙)

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 貞亨5年7月3日。『笈の小文』の旅の途次、名古屋日蓮宗円頓寺(現名古屋市西区橋詰町)において。

何事の見立てにも似ず三日の月

 三日月は古来色々なものに譬えられてきた。鎌であるとか、櫛であるとか、三日月眉であるとか、細目の表現等々。しかし、いましみじみと三日月を見ていると、そのどれにも似ていない。見慣れた対象にたいして、新しい発見の瞬間。


名古屋市了義院境内の「ありとある見立てにも似ず三日の月 」(知足書留)の句碑(牛久市森田武さん提供)