芭蕉db

   那須余瀬、翠桃を尋ねて

秣負う人を枝折の夏野哉

(曾良書簡/陸奥衛/芭蕉文集)

(まぐさおう ひとをしおりの なつのかな)

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 元禄2年4月4日。『奥の細道』旅中、那須の黒羽に門人翠桃を尋ねて。 はじめ芭蕉・曾良・翠桃の三人ではじめ、中途から桃雪ほか土地の俳人らを交えて満尾した歌仙の発句。
 

秣負う人を枝折の夏野哉

 秣<まぐさ>は言うまでもなく馬草で馬のえさである。この広い那須野では道が分からない。あの秣を背負って歩いている男を道標にして歩いていけば大丈夫。枝折は山路を歩くときのメモリーとして枝を折って自分が通った道筋を記録して おくことで帰路の道標とするところから、ひろく街道の道標をも指すようになった。


栃木県黒羽町蜂巣字篠原玉藻稲荷神社境内の句碑。牛久市森田武さん提供