芭蕉db

椹や花なき蝶の世捨酒

(虚栗)

(くわのみや はななきちょうの よすてざけ)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 天和3年、芭蕉40歳の作。この年9句が記録されている。

椹や花なき蝶の世捨酒

 桑の実に蝶々がとまって汁を吸っている。あれは、花の無くなった季節に蝶が呑む世捨て酒だろうか。桑の実と世捨ては、桑門(僧門)に入るという縁語から来ている。「花なき」は仏道に入るのだから俗世間の「花」ある人生ではないのである。芭蕉の人生観の屈折点に当る作品 。
 談林の風の残るうるさい句。