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芭蕉db
元禄六、文月七日の夜、風雲天に
満ち、白浪銀河の岸をひたして、
烏鵲も橋杭を流し、一葉梶を吹き
折る気色、二星も屋形を失ふべし。
今宵なほ、ただに過さんも残り多
しと、一燈かかげ添ふる折節、遍
照・小町が歌を吟ずる人あり。こ
れによってこの二首を探りて雨星
の心をなぐさめんとす
小町が歌
(真蹟懐紙)
(たかみずに ほしもたびねや いわのうえ)
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元禄6年7月7日、七夕の夜。この日大雨で星は見えない。師匠を慰めようと、杉風が芭蕉庵にやってきてくれた。二人はしみじみと来し方の話となったであろう。
- ところで、七夕の7月7日は旧暦表示。よって、これが太陽暦では8月の下旬となる。もちろん立秋の後だから、七夕は歳時記の「秋」となる。この時期、日本列島にはしばしば台風がやってくる。
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高水に星も旅寝や岩の上
高水とは大雨のこと。七夕だというのに大雨が降っている。この分では天の川で一年ぶりの逢瀬を楽しもうという二つの星もさぞや川を渡れずに岩の上で旅寝をしていることであろう。
三重県上野市岩倉岩倉峡(牛久市森田武さん提供)
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