芭蕉db
   耕雪子別墅即事

凩に匂ひやつけし返り花

(後の旅)

(こがらしに においやつけし かえりばな)

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 元禄4年冬。大垣。奥の細道以来、長かった落柿舎・近江など上方滞在から最後の東下の旅の途次。

凩に匂ひやつけし返り花

 「返り花」とは、木枯しの季節の小春日和に狂い咲きした花のこと。返り咲きとも言う。ここで何が返り花だったかは分からないが、耕雪子の別墅に可憐に咲いていたのを目ざとく見つけて挨拶吟とした。耕雪は大垣蕉門の弟子のひとり。