芭蕉db
   古園

花みな枯れてあはれをこぼす草の種

(あつめ句/真蹟「貞亨丁卯詠草」)

(はなみなかれて あわれをこぼす くさのたね)

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 貞亨3年秋。『泊船集』・『孤松』では、「霜の後葎を訪ひて<しもののちむぐらをといて>」とある。『蕉翁句集』では貞亨2年に収められている。季題は冬。

花みな枯れてあはれをこぼす草の種

 霜の季節がやって来て、花園の花はみな枯れ果てた。落ちている種を見るにつけても、あの夏の日の盛りと対比して哀れを催すことだ。「あはれをこぼす」という言い回しがキー。いやみにもなり、新鮮にもなる。