芭蕉db

早く咲け九日も近し菊の花

(俳諧石摺巻物)

(はやくさけ くにちもちかし きくのはな)

はやはやさけ九日もちか

(笈日記)

早う咲け九日も近し宿の菊

(桃の白実)

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 元禄2年9月4日。『奥の細道』旅中、大垣藩士浅井左柳亭で開いた歌仙発句。この句につけた左柳の脇は「心うきたつ宵月の露」であった。

早く咲け九日も近し菊の花

 9月9日は重陽の節句。この日までにもうそう日にちはない。早く咲かないと菊の節句に間に合わない。
 芭蕉は、9月6日に再び伊勢に向けて旅立つ。古来、その旅立ちへの心の準備を菊に託したと解釈されているが、そうであろう。