芭蕉db

行く秋の芥子に迫りて隠れけり

(芭蕉宛去来書簡)

(ゆくあきの けしにせまりて かくれけり)

 

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 元禄6年秋。『芭蕉宛去来書簡』他に出典を見ない。

行く秋の芥子に迫りて隠れけり

  秋があっという間に過ぎていく。まだ冬には間があると思っていたのに、まるで芥子粒の中に隠れでもしたように。ここに芥子は、特に意味が無い。作者の頭の中には、「芥子に須弥山を隠す」(極めて大きなもの(ここでは須弥山という佛教の霊山で宇宙を象徴する山を譬えにする)を極小のものの中に入れる意)のような格言があったのであろう。