芭蕉db

鰹売りいかなる人を酔はすらん

(蕉翁句集/いつを昔)

(かつおうり いかなるひとを よわすらん)

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 貞亨4年初夏。江戸。

鰹売りいかなる人を酔はすらん

 初鰹は、江戸の人々にとっては何はさておいても食べたいもの。しかし多くの庶民には手が届かない。いまカツオ売りが初鰹を売り歩く売り声が聞こえてくるが、あの魚を買うのはどんな金持ちなのであろう。その人はきっと今夜初鰹を肴に一杯やって心持よく酔うことであろう。
 ところで、日本人がかつおを食するようになったのは鎌倉時代から室町時代にかけてだったらしい。主として、関東で好んで食べたので、都の文化では下品なものと評価されていたらしい。その間の事情は、『徒然草』第119段にある。