芭蕉db
   寒夜

瓶割るる夜の氷の寝覚め哉

(真蹟懐紙)

(かめわるる よるのこおりの ねざめかな)

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 貞亨3年冬。『蕉翁句集』では元禄6年とする。

瓶割るる夜の氷の寝覚め哉

 寒い夜、甕<かめ>の割れる音で目が覚める。寒さのために氷が張って甕を割ったのであろう。甕の中には明日の朝の飲み水や、ご飯を炊くための調理用の水などが入っていたはずである。芭蕉庵の冬の夜の厳寒と底深い静寂があたりを覆っている。