芭蕉db

かくれけり師走の海のかいつぶり

(色杉原)

(かくれけり しはすのうみの かいつぶり)

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 元禄3年作。47歳。大津。『蓮の実』では、「のがれけり師走の海のかいつぶり」とある。

かくれけり師走の海のかいつぶり

 カイツブリは水鳥で古名で鳰(にほ、にお)ともいう。琵琶湖の別名が鳰の海(におのうみ)であるから、この「海」は琵琶湖のこと。ひょうきんな格好をして軽快に頭を水中につっこんですっと消えてしまう。その瞬間、「ポチャン」とかわいらしい水音が芭蕉の耳に届いたかもしれない。一瞬の出来事を句にすくい取った蕉翁秀句の一つ。


大津市田上にある句碑。牛久市森田武さん提供