芭蕉db

五月雨や蠶煩ふ桑の畑

(続猿蓑)

(さみだれや かいこわずらう くわのはた)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄7年、51歳。何処でこの情景を見たのかは不明。

五月雨や蠶煩ふ桑の畑

 蠶 <かいこ>煩ふ」とは、病を患っている蚕のこと。蚕にはジョウゾクするまでに幾多の危険が待っている。その中でも白く硬化して死に絶える伝染病が深刻である。こういう病気を発見した養蚕農家では即座に病蚕を捨てる。
 一句は、五月雨の降りしきる桑畑に病蚕が捨てられいるのを見ての嘱目吟。この蚕たちは、まだ生きていたかもしれない。ただし、無造作に放棄すると伝染の危険性があるので、農家では穴を掘って捨てたはずで、それを芭蕉がどのように見たのかは想像する以外に無い。