芭蕉db

風吹けば尾細うなる犬桜

(続山井)

(かぜふけば おほそうなる いぬざくら)

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 寛文7年、24歳の若い作。伊賀上野時代の作。

風吹けば尾細うなる犬桜

 犬桜<イヌザクラ>は、バラ科落葉高木。桜の一種でありながら貧相な花をつけるのでこの名がある。この句も、そういうパッとしない桜を揶揄したもの。イヌザクラというだけあって、風が吹いて枝の先があおられる姿は、尻尾を細めて逃げ出す犬のようだというのである。
 『新撰犬筑波』には「折る人のすねに噛みつく犬桜」などがあって有名。これらの句が下敷きにある。