芭蕉db

猪もともに吹かるゝ野分かな

(江鮭子)

(いのししも ともにふかるる のわきかな)

   

猪のともに吹かるる野分かな

(曲水宛書簡)

(いのししの ともにふかるる のわきかな)

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 元禄3年、幻住庵滞在中の作。 『幻住庵の記』によれば、「里の男ども入り来たりて、「猪の稲食ひ荒し、兎の豆畑に通ふ」など、わが聞き知らぬ農談、ひすでに山の端にかかれば、夜座静かに、月を待ちては影を伴ひ、燈火を取りては罔両に是非をこらす。 」とある。これから類推するに、作者は直接嵐に震えている猪を見たのではなく、農民達が来て話す話の中の猪が野分に濡れて震えている哀れな姿を想像しているのであろう。

猪もともに吹かるゝ野分かな

 何もかも吹き飛ばそうといわんばかりの台風がやってきた。この嵐の中、庵の奥山ではあの猪たちはどうしているだろうか。 寒さに震えながら必死に暴風雨に耐えているのだろうか。
 猪については、洒堂の鼾をたとえた句「猪の鼾に入るやキリギリス」がある。こちらは、鼾の主が猪にたとえられているのだが。