芭蕉db

さし籠る葎の友か冬菜売り

(雪まるげ)

(さしこもる むぐらのともか ふゆなうり)

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 元禄元年師走。冬菜は葉の丸い小松菜であろうが、この菜は芭蕉庵近くの小松川辺りで産したのでこの名がついた。

さし籠る葎の友か冬菜売り

 さし籠る「葎<むぐら>」とは、葎の宿の意で、隠遁している者のすみかをいう。ここではもちろん芭蕉庵のこと。まして冬の季節であれば訪れる人とてない。そんなところへ冬菜売りが菜を売りに来てくれると、旧友に会ったような気分になる。
 己の独居隠遁生活を笑い飛ばしているようでもあり、人恋しい想いの漂白のようでもあり。。。。