芭蕉db
ほたる
目に残る吉野を瀬田の螢哉
(真蹟懐紙写)
(めにのこる よしのをせたの ほたるかな)
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元禄元年、『笈の小文』の旅の復路で近江の瀬田にて。
目に残る吉野を瀬田の螢哉
「
この螢田毎の月にくらべみん
」と一対をなす作品。「この蛍」では、未だ見ぬ未来の田毎の月に期待し、この句では直前の過去の吉野の情景への回帰を詠う。あたかも吉野の懐かしさを防護しようとしているようでありながら、眼前の蛍の群舞の美しさを強調する。