芭蕉db

ひやひやと壁をふまえて昼寝哉

(笈日記)

(ひやひやと かべをふまえて ひるねかな)

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 元禄7年7月上旬。大津の門人木節亭。

ひやひやと壁をふまえて昼寝哉

 『笈日記』によれば、「『此句はいかに聞き侍らん』と申されしを、『是もただ残暑とこそ承り候へ。かならず蚊帳の釣り手など手にからまきながら、思ふべき事をおもひ居ける人ならん』と申し侍れば、『此謎は支考にとかれ侍る』とて、笑ひてのみ果てぬるかし。」とある。つまり、残暑の頃、昼寝をしていると、壁などに足が触れるとさすがに壁はひやっとして涼しさを感ずるものだというのであろう。微妙な季節感を浮き彫りにした句である。