芭蕉db
   文月の始め、再び旧草に帰りて

道ほそし相撲取り草の花の露

(笈日記)

(みちほそし すもうとりぐさの はなのつゆ)

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 元禄7年7月初旬。義仲寺の草庵を3年ぶりに訪れて。スモウトリグサは、すみれの異称とするものと、メヒシバまたはオイシバというイネ科の植物があるが、時期的に見て後者であろう。義仲寺の草庵へ行く道が、人が歩かないために一面に生え、その道を細めていたのである。

道ほそし相撲取り草の花の露

 久しぶりに帰ってきた無名庵への道だが、一面にスモウトリグサが生い茂って歩く場所とてないほどだ。いま、秋の朝露がその草にびっしりとついている。