芭蕉db
   不二

一尾根はしぐるる雲か富士の雪

(泊船集)

(ひとおねは しぐるるくもか ふじのゆき)

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 貞亨4年11月、『笈の小文』旅中。周囲に連山を眺望しながら富士が屹立している風景であろうから、箱根付近での嘱目吟かと思われる。

一尾根はしぐるる雲か富士の雪

 沢山の冬の山々が見える。その中には尾根が黒雲におおわれている山がある。あれはきっと時雨がやってきたのであろう。その山なみの風景の中に真っ白に雪をたたえた独峰富士が立っている。
 古来、富士山を雄大に描ききった名句として称えられてきた一句。


静岡県富士市平垣町、平垣公園内の句碑(牛久市森田武さん撮影)